荷重測定を利用した容器の操作性試験 点眼容器のスクイズ力の事例

皆さんは「容器の操作性」と聞いて何を思い浮かべますか?
たとえば、持ちやすさや蓋の開けやすさといったものが頭に浮かぶかもしれません。また、スプレー容器や点眼容器(目薬)から適量を噴霧、滴下させることの容易性も、容器の操作性のひとつです。実は、例にあげた操作性のなかには、荷重測定(力の測定)を利用して、その評価試験を行っているものも多くあります。今回は、「点眼容器の操作性」の試験事例を例にあげて、荷重測定を使用した操作性試験を紹介します。

CHONBURI, THAILAND-SEPTEMBER 5, 2018 : Lotemax, Allergis, Tobradex, Cravit eye suspension and eye drops in phastic bottle isolated on white background. Steroids, Antibiotics, antihistamine medicine.

点眼容器において、「どの程度の力で容器を押せば点眼液が滴下されるか」は、その使用性に影響を与える重要な要素です。たとえば、指でつまむ力が弱い人に向けた点眼液では、弱い力でも点眼できる点眼容器が求められます。一方で滴下に必要な力が小さくなりすぎると、繊細な扱いが求められるため、扱いづらさを感じる人が出てくるかもしれません。

点眼液を1滴滴下するために必要な押し込み力は、「スクイズ力(すくいずりょく)」と呼ばれ、点眼液の操作性に影響を与える要因として、各企業にて管理が行われています。点眼容器のスクイズ力は、フォースゲージ(荷重測定器)と呼ばれる力の測定器を使用することで測定を行うことが可能です。たとえば、下の画像はスクイズ力測定用機器の一例です。点眼液が滴下されるまで、フォースゲージで点眼容器を押すことで、スクイズ力を測定します。(画像の機器では、スクイズ力に加えて、滴下された点眼液の重量も測定をしています)

スクイズ力測定用機器は、一定の位置に決まった速度で押し込みを行うため、品質管理において特に有用な測定手段です。また、繰り返し同じ位置に押し込みを行うことで、容器内の点眼液量によるスクイズ力の変化や、滴下量の測定を行うことが可能です。

一方、センサーを指に巻きつけて押し込み力を測定するフォースゲージを使えば、実際に点眼を行った際の力の推移を観察できます。インタビュー調査などと組み合わせることで、より実用時に近い動きにおける、スクイズ力と操作性の分析を行うことが可能です。

操作性の評価では、測定値が高すぎても低すぎても使いづらくなるというケースが多くあります。また、使用者によって体格や感覚が異なるため、評価結果にも違いが表れます。そのため、製品開発の段階で、管理できる適切な数値を定め、品質管理を行っていくことが大切です。

さて、今回の記事では、点眼容器のスクイズ力を例にあげて、容器の操作性試験を紹介しました。今回紹介をしたように、荷重測定は、強度測定だけでなく、さまざまな力の数値化に活躍します。イマダのHPでは、スプレーレバーの押し心地測定など、さまざまな荷重測定の事例動画を公開しています。また、フォースチャンネルでも、荷重測定やチカラに関する様々な記事をお届けしていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

測定事例動画:スプレーレバーの押し心地測定


【補足】 指でつまむ力 ピンチ力

スクイズ力と混同されやすい力のひとつに「ピンチ力(ぴんちりょく)」という力があります。ピンチ力とは、指でモノをつまむときの力であり、たとえば点眼容器では、ピンチ力がスクイズ力を上回ることで、点眼液が滴下されます。先に紹介をした「センサーを指に巻きつけて押し込み力を測定するフォースゲージ」のグラフは、ピンチ力の推移を表したグラフのひとつです。

ピンチ力は上画像のようなピンチ力測定機器を使用することでも測定が可能です。厚み幅を固定して測定を行うことができ、リハビリテーションでの最大ピンチ力の測定や、ピンセットを使って一定のピンチ力を維持するトレーニングなどに使われています。

測定事例動画:ピンセットのつまみ力測定(トレーニング)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次