「荷重測定」―物理など専攻していないと、なかなか聞き慣れない言葉かもしれません。ご存知の方でも、この言葉を聞いて思い浮かぶのは、金属部品の破壊試験だったり、テープの剥離試験だったり、工業製品の品質管理などの目的の下、工場などで行われているイメージではないでしょうか?(「荷重測定とは?(イマダ製品HP)」)
でも実は荷重測定はとても応用の効く測定で、様々な業界において、メーカーの私たちでも想像していなかったようなユニークな試験が行われています。
この記事では、そんなユニークな事例を2つ紹介いたします。皆様の測定に役立つヒントとなるかもしれません。
クワガタ繁殖を支える「産卵木の硬さ」測定事例
1つ目の事例は昆虫の繁殖管理です。株式会社D.D.Aでは、クワガタの繁殖に用いる産卵木(さんらんぼく)の硬さを、フォースゲージを使って評価・管理しています。産卵数にも影響があるといわれている産卵木の硬さですが、同社では柔らかい、硬いといった木の硬さを表す感覚を荷重値として数値で定義・管理することにより、一定の品質での供給が可能になっているようです。
産卵木(さんらんぼく)とは、クワガタが卵を産みつけるために使う木材のことです。
主に「クヌギ」や「コナラ」などの広葉樹が使われ、自然界でクワガタが朽ち木に産卵する環境を人工的に再現したものです。

産卵木の硬さが繁殖成功率を左右する理由
クワガタのメスは、産卵の際に産卵木の内部へ卵を産みつけます。そのため、産卵木が硬すぎると産卵がうまく行われず、逆に柔らかすぎると木が崩れやすく、幼虫の成長環境として適さない場合があります。「硬すぎず柔らかすぎず・・・」、とても繊細な管理が必要ですよね。
ただ、適切な硬さの産卵木を選定することは、繁殖成功率を高めるうえで非常に重要です。荷重測定を行うことで、産卵木の硬さを評価するための指標を得ることができ、産卵に適した状態かどうかを事前に確認できます。
フォースゲージを用いた産卵木の選別基準
同社ではイマダのフォースゲージを使って産卵木の硬さを測定しています。測定結果は、同社の管理基準として以下のように分類され、産卵木の選別基準として活用されています。
超柔材:50N以下 柔材:50~80N 普通~やや硬め:80N以上
このように数値化することで、産卵木の品質を安定させるだけでなく、繁殖データとの比較検証も可能になります。たとえば、「木の硬さの違いによって産卵数にどの程度差が出るのか」といったテーマで小中学生向けに自由研究をしてみるのも、面白いかもしれないですね。昆虫飼育の奥深さを知るきっかけにもなりそうです。
歯科医療での力加減を「見える化」する測定事例
2つ目に紹介するのは、インパクトのあるこちらの写真。新潟大学歯科臨床教育学/歯科総合診療科のトレーニングの様子です。経験豊富な歯科医師の方の歯科治療動作における力のかけ具合をデータ化し、歯学生等の方々のトレーニングの指標にされているとのことです。当社のフォースゲージを活用して荷重測定を行っています。

歯科治療における力加減の可視化研究
歯科治療において、わずかな力のかけ方の違いが、患者さんの痛みや治療の範囲などに大きな影響を与えそうなことは想像に難くないですが、それを言葉や図だけで説明するのは難しいです。フォースゲージを用いれば、1Nに満たない微細な力を検出し、かけ具合の軌跡をグラフで可視化できるため、より早期に歯学生や若い医師の方の力量向上につながる可能性があるとして研究されています。

〔出典元:新潟大学歯科臨床教育学/歯科総合診療科〕
教育現場での実践的な活用
歯科医療の現場では、学生が短期間で力加減のコントロールを身につけることは容易ではありません。そこで、新潟大学では下顎模型にフォースゲージを組み込んだマネキンを用い、実際の治療動作に近い環境で力のかけ方を数値化する取り組みが行われています。熟練歯科医師が実際にどの程度の力で処置しているのかをデータとして蓄積し、その数値を学生や若手医師が学ぶための指標として活用しています。このように、フォースゲージを用いたトレーニングは、従来は「感覚」としてしか伝えられなかった技術を「可視化」し、より安全で質の高い歯科医療の提供につながる教育手法として注目されています。

まとめ
いかがでしたでしょうか。皆さんの予想を超える使い方は見つかりましたか?
筆者自身もこの記事を書きながら、フォースゲージは「感覚の数値化」、「細かい力の変化を見る」など、さまざまな場面で活用できることを改めて実感しました。
弊社では、このようなユニークな荷重測定の事例を随時募集しています。「紹介してもいいよ」という方は、ぜひ「お問合せ」よりご連絡ください。 裾野の広い荷重測定の世界で、面白い事例が集まりましたら、また皆さんにご紹介していきたいと思います。
Force Channelでは、今後も引き続き「力の測定」をテーマに、情報発信を行っていきます。今回の記事をきっかけに力の測定に興味を持たれた方は、ぜひ他の記事もあわせてご覧ください。
【参考情報】
株式会社イマダでは、今回の記事で紹介した「フォースゲージ」「アタッチメント」「計測スタンド」などを幅広く製造・販売しています。測定機器にご興味のある方は、下記リンクより製品・サービスサイトをご覧ください。
また、「こんな力が測りたいのだけどどうすれば良い?」「自社のサンプルにあった機器を提案してほしい」という場合には、機器選定のお手伝いもしております。相談をご希望の方は、下記リンクよりお問い合わせください。

