医療用ゴム手袋で高い世界シェアを誇るマレーシア。今回は、同地でゴム手袋をはじめ各種医療用具を生産しているAnsell Global Trading Center (Malaysia) Sdn. Bhd. (以下Ansell)で、品質管理に荷重測定が行われていると聞き、伺ってきました。
同社での手袋の試験には、手袋のグリップ力や着用のしやすさをはじめとする製品の品質や安全性を評価する様々な機械的材料試験が含まれますが、そのひとつが荷重測定です。以下、各種材料試験が行われているAnsell R&D Testing Laboにおいて拝見してきた摩擦試験の実演と手袋の摩擦特性の評価方法をご紹介します。
摩擦試験は、「Metal over Rough」や「Metal over Smooth」などと呼ばれる複数の試験を行っており、「手袋の外側の摩擦力」「手袋の内側の摩擦力」「手袋の外側同士の摩擦力」などを測定し、手袋のグリップ力や、着用のしやすさなどの指標にしているとのことです。
まずは適切な形にカットしたサンプルを摩擦試験用の治具に止め、
重りの金属部分を下にし、手袋の上を引きずっていくことで手袋と金属の間の摩擦係数を測定。このようにして測定された動摩擦係数をはじめとする指標が、社内基準を満たしているかを確認されています。
摩擦試験は、2つの物質間の摩擦係数を測定する試験です。その試験結果は、垂直にかかる荷重値に関係する重りの重さや、重りを水平に引っ張る速度、また2つのサンプルの接触面のざらつきなどの状態等に影響されます。
現在Ansell R&D Testing Labでは、紹介したIMADAの測定器を使った測定結果が、社内基準に適合していることを確認するため、測定方法の検証や測定データの比較を行っているとのことでした。
AnsellのTesting Labには、今回紹介した摩擦試験機以外にも、大型の引張試験機や、穿刺抵抗試験機、摩擦摩耗試験機など、たくさんの試験機がそろえられており、国際的な業界規格に沿った試験を行い、ゴム手袋の品質管理を行っていました。
今回の訪問では、ゴム手袋1つをとっても、こんなにも多様な品質特性の確認を行っていることがわかり、とても興味深い時間を過ごせただけでなく、医療や工場などの現場で、装着者をしっかり防護するために、高い品質を掲げてものづくりをされているのだなと心強く感じることもできました。
ご対応いただいたAnsell Global Trading Center (Malaysia) Sdn. Bhd.の皆様、どうもありがとうございました。