荷重測定用語シリーズ:「再現性」とは?

Q:荷重測定でよく聞く再現性」とはなんですか?

A:荷重測定における「再現性」とは、同じ状態の測定対象物に同じ試験を複数回行ったときに、各回でどれだけ同じ測定結果や数値が得られるかを表す程度のことです。一般的に再現性が高い/低い、と表現されます。

▮「再現性」を考慮する理由

荷重測定における「再現性」は、製造業や研究開発の品質管理において、製品の品質のバラつきを把握するために行う測定の「結果の信頼性」を判断するのに必要不可欠な情報です。

例えば、お菓子メーカーがヒートシールされたお菓子袋の開封しやすさを評価するために、お菓子袋の開封強度を測定するとします。

サンプルを手で持って測定する場合と、計測スタンドを用いて測定する場合とでは、得られる結果のバラつきが違います。というのは、手で持って測定した場合、測定者によって、引っ張る力、速度、方向が違うため、測定結果にバラつきが大きくなります。一方、計測スタンドで測定する場合、引っ張る力、速度、方向を一定に設定できるため、バラつきが少なく、より一貫した測定結果が得られます。前者は、「再現性」が低い、後者は再現性」が高い状態と言います。

上記の例の「引っ張る力、速度、方向」などは測定条件といわれ、「再現性」を高く保つためには、測定結果に影響を与えるこれらの条件を統一させる必要があります。「再現性」が高ければ高いほど、測りたい特性以外の変数の影響が少なくなり、測定結果の信頼性が高くなります。

再現性が低いと、同じ測定方法で測定しても、結果にバラつきが生じてしまいます。これにより、製品の品質を精度高く評価できなくなり、品質のバラつきをうまく表すことができず、結果不良品の増加、顧客満足度の低下につながります。

▮再現性を高めるには?

品質管理などでよく使われる4M手法を応用して、再現性を高めるために検討するポイントについて説明します。

1. Man <人>

ここでは「測定者」を指します。測定者のスキルや経験も再現性に影響を与えます。異なる測定者が同じ結果を得られるようにするためには、標準化された測定手順に基づいたトレーニングを実施し、全員が同じ方法で測定を行えるようにします。

2. Machine <機械>

ここでは、「測定器」や「計測スタンド」や「アタッチメント」など測定に必要なものを指します。
測定器は、高精度のものほどばらつきが少なく、一貫した結果を提供します。また、使用する測定器は、定期的な校正を行い、機器の精度を維持することで、高い再現性につながります。
計測スタンドは、手動よりも電動のほうが一定速度で測定できるため、再現性の高い結果を出してくれます。
アタッチメント類は、適切に管理され、ねじの緩み、サビ、欠け、キズなど測定結果に影響する不具合がないものを使用すれば、再現性の高い状態の測定を実現します。

3. Method<方法>

ここでは、「測定方法」や「手順」を指します。測定方法や手順を標準化することで、異なる測定者が測定しても一貫した結果を得ることができます。手順の標準化は、再現性を高めるだけでなく、全体のプロセスの効率化にも寄与します。

4. Material<材料>

ここでは「測定対象物(サンプル)」を指します。再現性を高めるためには、測定対象物の状態が安定していることが重要です。例えば、一部食品など温度や湿度の影響を受けやすい測定対象物の場合、同じ測定方法を用いても測定結果が変動する可能性があります。測定対象物の性質を把握し、適切に管理することが大事です。

▮まとめ

ここまで、荷重測定に焦点を当て、「再現性」という概念について説明してきました。荷重測定において、再現性がいかに重要かわかっていただけたと思います。再現性の高い測定ほど、信頼性が高く、測定結果に基づいた判断や分析も正確になり、品質管理や研究開発に貢献します。

再現性の高い測定方法について詳しくご相談されたい場合は、こちらまでお問い合わせください。

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