最高(硬?)の保存食?荷重測定メーカーが全国のかたパンの硬さをランキング!

皆さん、「かたパン」という食べ物、聞いたことはありますか?筆者は先日、初めて食べる機会に恵まれたのですが、その名に違わぬハードボディで、前歯と犬歯で気軽に噛む勇気はなく、細かく砕きながら飴のようにいただきました。

こんなユニークな食べ物、一企業の奇をてらった商品だろうなと思って何の気なしにググってみたところ、なんと日本各地で作られていました。「かたパン」って一般名称だったんですね。。どれも小麦粉と砂糖を主原料とし、乾パンのように保存・携行食として作られているようです。

いろいろなサイトを見てみると、それぞれのかたパンが中々の硬さを誇っておられる様子。保存食なのに、いざというときにしゃぶって食べないといけない硬さでいいのかなとちょっと思わなくもないですが、ここは、荷重測定メーカーとして各かたパンの硬さを測って順位付けしたら面白いのでは!と思って早速やってみました。

目次

エントリー商品

かたパンは全国に存在しているようですが、すでに廃業されていたり通販に対応されていなかったり季節限定で製造されていたりと、思いのほか入手が大変でした。そんな中無事入手できた、こちらの4商品をエントリーしたいと思います!

株式会社スピナ
「くろがね堅パン」
だるま屋 
「マーガリン入かたパン」
有限会社
伊賀菓庵山本
「かたやき」
株式会社 
ヨーロッパンキムラヤ 
「軍隊堅パン」
大正時代、八幡製鉄所の従業員のために作られた食品。様々なフレーバーが選べるほか、複数のECサイトに出品されています。敦賀名物ということで、同地の観光名所がプリントされています。今回取り寄せたかたパンの中では一番薄いです。伊賀の忍者が敵地に忍び込むときに携帯した食料をルーツに持つお菓子。丸い形が胸から取り出す姿を彷彿させます。鯖江にあった陸軍歩兵三十六連隊に納めていたパンを復刻して作られた携行食品。ゴマがまぶしてあります。

測定方法

手動のマニュアルスタンドにフォースゲージを取付け、砕きやすいよう先が尖った山型のアタッチメントをその先端に装着します。スタンドのハンドルを回して各かたパンを押し続け、割れた瞬間の値を保存します。割れるのに必要な荷重値が高ければ高いほど、硬いかたパンということになります。食品は個体差が大きいため、今回はそれぞれ3サンプルずつ測定し、平均値で比較します。一般に、厚みがあるほうが割るのに力が必要なので、参考値としてかたパンの厚みも測りました。

これが測定に用いた製品セットです。
このようにアタッチメントを各かたパンが砕けるまで押していきます。

栄えある最強かたパンは?

こちらが保存食の猛者たちの、激闘の記録です。

順位商品平均硬さ(N)厚み(mm)
1有限会社 
伊賀菓庵山本
「かたやき」
667.7N12㎜
2株式会社 
ヨーロッパンキムラヤ
「軍隊かたパン」
375.3N9㎜
3株式会社スピナ
「くろがね堅パン」
217.3N9㎜
4だるま屋
「マーガリン入かたパン」
131N4㎜

当時全国に名をとどろかせたといわれる伊賀の忍者、彼らの携行食に由来する「かたやき」が、その厚みもあり、最も高い測定値を記録する結果となりました。測定後に割れた破片を口にしましたが、口に入れた瞬間の固形感が強烈で、しばらくはしゃぶっておかないと噛めないと直感できました。

実際、各かたパン、どのくらい硬いかといいますと、ここで硬さの比較に用いた荷重単位のN(ニュートン)は1N=約1.02kgfなので、砕くには、おおよそ13~67㎏ほどの力が必要になります。ある調査によると、成人男性が歯を食いしばったときの奥歯にかかる力は、最小27.5kg、最大100㎏、平均59㎏とのことで、普段の食事の時に同じ奥歯にかかる力が10-20kgほどらしいので、相当覚悟して臨まないと噛めない硬さということになります。また前述したように、かたパンの硬さには個体差があり、かたやきや軍隊堅パンには800N(=約80㎏)を超える値を示したものもあったため、各かたパンの食べ方指南にあるように、事前に道具で割って小さくしたり、紅茶などに浸して食べたりするのがよいようです。


全かたパン、その名称を誠実に反映した硬さを持っており、測定中は予想を超える値が続出する楽しい実験となりました。

測定後、各かたパンをいただいたところ、見た目以上に満腹感が得られ、確かに保存食・携行食として向いているんだなと思いました。それぞれ、素朴ながらも風味豊かで、ごまやのりなどのトッピングがあるものもあり、ハイキングなどで体を動かした後に食したら、その優しい甘さに癒されるだろうなと感じます。

どのかたパンも、携行食としてその時々の人たちのニーズを受け生まれた、歴史ある商品でした。代々続くレシピを現代まで受け継ぐ各製造元の皆さんに敬意と感謝を表し、本記事を終わりたいと思います。

※自社の食品の硬さも測定してみたいと思われた方はこちらもご覧ください。食品・飲料測定事例

(参考)

日本歯科医師会 テーマパーク8020

https://www.jda.or.jp/park/relation/sport_05.html#16

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