イマダデジタルフォースゲージの歴史

ショルダーフォンと呼ばれる約3㎏もある肩がけの電話が、現在のスマートフォンに進化したように、世の中の技術は、時代の潮流と共に絶え間なく進化し続けています。イマダのデジタルフォースゲージも同様です。1984年に初代モデルを上市して以来、時代の最新技術を駆使して進化し続けており、今では国内外の幅広い業界で使用されています。では、どのような技術革新を経て、選ばれ続けてきたのでしょうか。ここでは、代表的なデジタルフォースゲージの革新的な技術を時系列で紹介していきます。

目次

1984年:DPSシリーズ

記念すべきIMADAの初代デジタルフォースゲージです。お客様から当時まだ目新しい表示機能であったデジタル式製品の要望を頂いたことが開発のきっかけになります。部品ひとつひとつから開発に着手し、ようやく1984年に販売を開始しました。圧縮・引張力の測定やゼロリセット、ピークスイッチ等メカニカルフォースゲージにある機能はもちろん、オーバーロード警報やバッテリーアラームなどの追加機能も搭載しており、初代モデルからから多様で精度の高い測定を可能にしています。

1987/1988年:DPRS-Tシリーズ

この年、イマダは国内初となるRS232C通信搭載のデジタルフォースゲージ、DPRS-Tを開発します。デジタル出力のRS232Cは、パソコンによるデータ管理・保存やヒストグラムの自動作成、コンパレータ機能、グラフ作成を可能にする通信技術です。
当時、何種類か通信手段の候補はあり、その中でもRS232C通信は真新しかったため主流になるか定かではありませんでした。しかし、その高い利便性と増えつつあったパソコンの普及率などを考慮し搭載を決め、外部の専門家と共同開発を行いました。その後、予想通り業界でRS232Cが主流となり販売台数も順調に伸ばしていくことができました。

2004年:ZPシリーズ

内閣府の消費動向調査(※)によると、この年、2人以上の世帯におけるパソコンの普及率は約66%と言われ、パソコンの使用頻度も年々高くなっていきます。
この技術や社会の進歩にイマダも対応していきます。世界初のUSB通信搭載のフォースゲージであるZPシリーズを発売します。
多くのパソコンに標準搭載され、高速なデータ通信を可能にするUSBを採用することで、フォースゲージのデータ通信速度1000データ/秒を実現しました。微細な荷重変化を捉えスムーズで正確なグラフを作成できるため、突発的な荷重変化の分析など高精度な研究を可能にします。
当初ZPシリーズは、開発にコストもかかり、全てのユーザーがPCに繋いで使うという前提があったわけではないので売れるか先行きに不安がありました。
しかし、製品の認知が徐々に広がるにつれ、市場の確かなニーズを確認でき、販売台数も伸びていきました。
また、当時力と変位を測ることができるのは、非常に高価な試験機しかなく、日常的に使える製品はありませんでした。そこで、手軽に品質管理や研究開発の現場にて導入・使用できる測定ユニット「F-S Master」も発売しました。本製品を通じ、「荷重―変位」測定をより身近にし、すそ野を広げることで、イマダ製品が新たな市場に浸透することになりました。

2013年:ZTS/ZTAシリーズ

イマダは、この年、デジタルフォースゲージの現行モデルであるZTS/ZTAシリーズを発売しました。当時真新しかった技術の有機EL技術をディスプレイに採用したことで、暗い環境や斜めからの角度でも数字をしっかりと確認できるよう視認性を向上させたほか、画面表示を3段に分け、使用者が測定条件の確認を容易にできるようにデザインしました。従来表示されていた測定値だけでなく、複数のピーク値やZTAであれば変位値なども表示でき、製品のユーザビリティを向上させます。有機EL技術だけでなく、外部機器との連動を可能にする豊富な外部出力や急激な荷重変化を追従する2000回/秒の高速サンプリングといった機能も搭載し、最新技術と共により高精度な測定を実現しています。
なお、先述のように最上位機種のZTAシリーズには、変位出力機能が搭載されますが、これが「F-S Master」で市場に提案してきた、フォースゲージによる変位測定の需要に大いに応えることに成功します。ZTAの高速サンプリング機能や高い反応性と、ZTAのコネクタに差し込むだけで使える変位計と組み合わせたポータビリティ性により、自動車内のような従来の試験器では対応できないようなシーンでの変位測定を可能にし、多くのお客様が日常的に荷重-変位測定を行える環境作りに貢献しました。

2017年:DSVシリーズ

現在、イマダのデジタルフォースゲージには大きく分類して2種類存在します。1種目は、標準かつ高機能タイプのZTS/ZTAシリーズのイマダフォースゲージ。最も高度で多様な技術を搭載しています。そして2種目がこの年に発売となったDST/DSVシリーズです。ZTS/ZTAシリーズより安価でシンプルなデザインで、ハンディー測定向けに開発されたのですが、特にDSVシリーズには測定精度を高める機能が備わっています。
その機能は、姿勢警告アラームと連続ピークモードです。姿勢警告アラーム機能は、姿勢変化を自動で検知し不適切な姿勢の場合にアラーム音で警告します。連続ピークモードは、値をゼロリセットせずに連続でピーク値を取得できる機能で、両機能ともハンディー測定の再現性や利便性を向上させることが可能です。

創業当時から変わらない「常にリーディングカンパニーでありたい」という強い想いから、37年間絶えず最新技術に目を向けデジタルフォースゲージの刷新をはかってきました。今後も我々は、様々な最先端テクノロジーに着目しお客様の測定の可能性を広げるとともに世界のものづくりを支えていきます。

【引用・参考文献】
※ 内閣府経済社会総合研究所. “消費動向調査” 2021-4-8 (2021-6-14)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/honbun202103.pdf

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